正解は、自分の幸せが決めていい。
迷いながら選んだ“今を生きる”という道。
■ 周りが変わっていく。私はこのままでいいの?
30歳を迎えるころ、ふと気づけば周囲はすっかりライフステージが進んでいた。
結婚、出産、マイホーム、昇進——「人生の節目」と言われるイベントを着実にクリアしていく友人たちの姿は、眩しくもあり、どこか遠い存在にも見える。
その一方で、私はというと、平日はフルタイムで働き、週末は気になるカフェへ行ったり、たっぷり寝たり、ジムで体を動かしたり、行きたかった場所へひとり旅に出たり。
学生時代から長く続けていた競技スポーツを引退し、「ようやく自分の人生を自分で選べるようになった」と感じながら、好きなことに素直に向き合う日々を過ごしている。
自由で、気楽で、マイペース。
それはある種の贅沢であり、満たされている感覚も確かにある。けれど同時に、どこかで小さな引っかかりも感じている。
「このままでいいのかな」
「私は、ちゃんと“進んで”いるんだろうか」
未来に思い描く理想もある。結婚したいし、子どもも欲しい。誰かと一緒に笑い合い、何気ない毎日を共有できる人生にも憧れはある。
でも——今の私には、もっとやってみたいことがたくさんある。
旅に出たい。海外で暮らしてみたい。やりたい仕事を形にしてみたい。
欲張りだけど、それが今の正直な気持ち。
競技を引退して数か月後、私は何かワクワクする目標が欲しくて、人生初のフルマラソンに挑戦した。舞台はホノルル。旅行代理店も使わず、自分で飛行機や宿を手配して、初めてのリゾート地に向かった。円安でも関係ない、とにかく楽しみ尽くしたくて。
走ることも、旅の準備も、すべてが新鮮で、心が震えるほど楽しかった。
あの経験が私に教えてくれた。
「世界には、まだ私の知らない景色がたくさんある」
「動ける今こそ、動くべきときなんだ」と。
「夢見る前に、今しかできない行動がある」
そんな気持ちで、私は今、人生を見つめ直している。
社会人スポーツで知った、新しい“価値”との出会い
私の人生は、スポーツとともにあった。
中学から競技を始め、大学、そして社会人になってもその道を貫いてきた。学生時代は自分のために競技をしていた。目標に向かって努力し、勝利を掴んだときの達成感。それが私を突き動かしていたし、何よりもそれが“自分らしさ”だった。
けれど、社会人になってからのスポーツには、学生時代とはまったく違う価値があった。
いつの間にか私は、ただの“プレイヤー”ではなくなっていた。自分が頑張ることで誰かの励みになったり、職場の人たちから応援されたり、後輩から「かっこいい」と言ってもらえたり——私の競技が、“自分のため”を越えて“誰かの力”になることを、初めて知った。
社会人スポーツには「卒業」がない。いつ辞めるかは自分で決める。
だからこそ、走り続ける意味も、自分自身で問い直しながら続けていく。20代という、遊びにも旅行にも恋愛にも全力を注げる時期の多くを、私は競技に捧げた。普通なら経験できたかもしれないものを、いくつも見送ってきた。
だけど、私はこの時間を後悔していない。
競技を通して出会えた仲間、支えてくれた人たち、分かち合えた感情は、私にとって何にも代えがたい宝物だと思っている。
スポーツをすることで得られた「つながり」は、競技の中だけにとどまらず、私の人生の広がりそのものを形作ってくれた。
自分のために走っていた過去があったからこそ、
誰かのために走る意味にも気づけた。
そして今、自分の人生のステージが変わろうとしている中で、あの経験が私の背中を押してくれている。
結婚も、子どもも欲しい。でも今は…
久しぶりに会った友人が、穏やかに、幸せそうにパートナーとの日々を語る。
実家に帰ったとき、甥っ子と一緒に遊んで、お風呂に入って、ごはんを食べて、一日中笑って過ごす——そんな時間を過ごしたあと、帰り道でふと気づく。
「私も、こんな毎日があったら、きっと幸せだろうな」って。
結婚したい。子どもも欲しい。
その気持ちは、誰かと過ごした“あたたかさ”の記憶とともに、じんわりと育っている。
日常の中で寂しさを感じているわけではない。
むしろ、今は一人の時間をのびのびと楽しめているし、自分のペースで生きているという実感もある。
だけど、誰かの幸せに触れたとき、自分もそんな時間を分かち合える人生を歩んでみたいな、と素直に思う。
その一方で——
今の私はまだ、世界をもっと見たいと思っている。
誰にも縛られず、好きな場所に行って、好きな時間を過ごして、思いきり今を味わいたいと思っている。
人生で“今しかできないこと”がたくさん目の前に広がっていて、その一つひとつを、胸を張って手に取りたい。
誰かと過ごす未来もきっと素敵だけど、今はまだ、その準備ができていない。
というよりも、今は「自分の時間」をしっかり生きたい。
自由でいることを選んでいるというより、自由でいることを大事にしている、そんな感覚に近い。
「結婚していないから寂しい」とか、「子どもがいないから何かが欠けている」とか、そういう話ではない。
むしろ、私は今がすごく楽しい。心が軽くて、感覚が研ぎ澄まされていて、ちゃんと“自分の人生を歩いている”と思える。
だから、ちゃんと欲張っていいと思ってる。
愛も、冒険も、挑戦も。
どれかを諦めなきゃいけないなんて、誰が決めたんだろう。
ワーキングホリデーという“リミット付きの自由”
やりたいことが次々にあふれてくる今、私の中で大きくなっているひとつの願いがある。
「海外で暮らしてみたい」という想いだ。
昔からなんとなく憧れはあった。
でも、それはどこか遠い夢のようなもので、「いつかできたらいいな」で終わっていた。
だけど今は違う。ホノルルでのフルマラソンを自分で企画し、現地で感じた空気、文化、人々の笑顔が忘れられなかった。
あの経験が、私の背中を強く押してくれた。
「世界には、まだ私の知らない景色がたくさんある」
「行ってみたい。暮らしてみたい。ちゃんと、体験してみたい」
そう思うようになった。
そんなときに知った、30歳ギリギリまで利用できるワーキングホリデー制度。
これはもう、今しか使えない「期限付きの自由」だと思った。
将来を考えれば、仕事のキャリア、貯金、家庭、いろんなことがある。
でも今は、何かを守るより、挑戦することのほうが自分にとって大切だと感じている。
もちろん、不安がないわけじゃない。
知らない土地での暮らし、仕事、言葉、文化の違い……。
だけど、不安よりも「試してみたい」という気持ちが勝っている。
そして何より——「行動できる今」に、全力を注ぎたいと思っている。
たとえ一時的に遠回りに見えたとしても、自分の人生を自分で選ぶという経験は、必ず未来に繋がると思う。
今、私の心は、まだ見ぬ国々と、そこで始まる“新しい自分”に向かって、ワクワクでいっぱいだ。
英語?全然話せない。正直、不安もたくさんある。
でも、なんだってやってみなきゃわからない。
準備不足でも、語学力ゼロでも、それでも私には“今を変えたい”っていう気持ちがある。
希望だけで走ってるような今が、なんだかすごく心地いい。
ゴールがどこかなんてわからなくても、動き出したことで、すでに人生が変わり始めている気がする。
最後に:「私が幸せだったら、それが正解」
誰かと比べて焦ったこともあった。
このままでいいのかな、と立ち止まってしまったこともある。
でも、今の私は胸を張って言える。
「自分の人生に、ちゃんとワクワクしている」と。
理想の未来は、きっとまだ少し先にある。
結婚も、子どもも、あたたかい家庭も欲しい。
でもその前に——
私は、私にしか歩けない道を、自分の足で歩いてみたい。
周りの人生が輝いて見えるとき、
「私の人生も悪くない」って、ちゃんと思えるようになった。
それはきっと、誰かに与えられた幸せじゃなくて、自分で選んで、自分で掴んできた時間があるから。
ゴールがどこなのか、正解が何なのかなんて、誰にもわからない。
だけど、最後に「私は幸せだった」と心から思えるなら、それが私の正解。
今しかできない行動を、迷いながらでも進んでみる。
その一歩の先に、まだ知らない景色が待っていると信じている。
そして何より——
そんな“今の自分”を、私はちゃんと好きでいられる。



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